Twitterで『スプートニクジャパン』のまとめ(
https://x.com/sputnik_jp/status/1755841736058798318nitter:
https://any-nitter-url/sputnik_jp/status/1755841736058798318)を見てから、いま、タッカー・カールソン氏によるプーチン氏へのインタビューを見始めたところだ。
https://www.youtube.com/watch?v=fOCWBhuDdDoプーチン大統領が歴史を説明しておられる。私には、タッカー氏が、基本的な歴史も勉強して行かれなかったように見える。おそらくプーチン氏は早々にそれに気づいて、なるべく話をわかりやすくしようと方針転換されたように見える。
日本人に私が言っておきたいのは、我々が持つべき基本的な認識は、”東欧中欧は、王侯貴族が「領土の分捕り合い」をしていたところ”ということだ。西ヨーロッパも世界を舞台に同じことをやっていたから、タッカー氏もこのあたりは(歴史を調べて行かれたのであれば)おわかりになったと思う。
そしてまた我々が持つべき認識は、プーチン氏が、そんな歴史があるにもかかわらず、ロシアが常に(将来的にも)正論を述べられるように、常に、「条約や取り決めを基準に話をしようとする」「筋を通したがる」政治家ということなのだ。要するに彼はテキトーな男ではない。「密約でうまくやろう」みたいなタイプの政治家ではない。西側では目にすることのない「骨のある」政治家なのだ。西側は「独裁者」と揶揄するが、「俺が死んだあともロシア人が困らないように正論外交しておこう」という態度を(おそらく多大な努力をして)貫いておられるので、「帝王の風格を持つ男」とも言える。
しかし、私は、直近の「ソビエト内部の話」としてみても、利害がからんでいて、プーチン氏のように条約や取り決めを基準に考えることが正しいのかどうかじたい、分からない。なにしろスターリン氏はグルジア人だったし、ソビエト中央政府はウクライナ人が多く要職を占めていたせいで、自分たちに有利なように国境線を引いてしまったと言われている(エカチェリーナ2世が愛人を送り込んでまで確保しようとしたクリミア、ソビエト人憧れの保養地クリミアをウクライナに編入しているあたり、私には「まあそうなんだろうなあ」としか思えないが、このあたりは立場によって何とでも言えるだろう)。
だから、私は、今回のロシアVSウクライナ戦争において「歴史的な意味で」重要なことは、ウクライナ中央政府がロシアとの開戦前までに内戦として8年間もドンバス地域を砲撃してしていたこと、ルッソフォビアをやらかしていたこと、この二点になると思う。この二点によって、ドンバス地域の帰属が自ずから明らかになっていると思うが、いかがだろうか。ドンバス地域は、間違いなく、「ウクライナ文化圏」ではなく、「ロシア文化圏」なのだ。そして、ドンバス地域がウクライナ文化圏に帰属するのは、ドンバス地域の人々に「ウクライナの中の『被差別地域民』として生きろ」ということになるので、難しいだろう、と、いうことなのだ。
プーチン氏は言葉を選ぶタイプの政治家なので、私が今言ったのと同じ内容を話すときに、「被差別民」などという言葉は使わない。彼は、「大きなロシア」とか、「昔からの家族」とか、あくまでもロシア側が受け入れる場合の言い方しかしない(少なくとも私はそういう言い方しか聞いたことがない)。
ロシアVSウクライナ戦争が、「二国間戦争」であれば、上記理由から、比較的簡単に話がついただろうと思う。ウクライナ政府はクリミアはもちろんドンバスなど「ウクライナに帰属すると『被差別地域』になってしまう地域」をロシアに譲る代わりに、ロシアから経済援助を得る。
私の考えでは、二国間戦争であった場合のロシアによる経済援助は、おそらく、アフリカ大陸への石油やガスの取扱い業者特権だっただろう。西側にはノルドストリームで直接供給できるが、アフリカ大陸への出口はクリミアしかない。ウクライナの港を使えればたくさんの量をさばくことができ、アフリカでの末端価格の上昇も抑えることができる。ウクライナもロシア製品を扱うことで利益を上げることができる。
私の考えでは、ロシアの「帝王」は、石油やガスの価格を上げるという形では、西側のルッソフォビアへの報復をしない。なぜなら、西側の人々の生活を苦しめると、ルッソフォビアを強めるだけだからだ。彼はロシア人が将来的に困るようなことはしたくないのだ。だから、彼は、ロシア領から出るときの石油やガスの価格は、戦争前と同じにするだろう。破格の「固定価格」である。この件で彼が西側に切実に望んでいることは、『ノルドストリーム2』の破壊者を見つけて、そこにパイプの復旧料金と損害賠償とを請求させてくれよ、といったあたりだろう。どのみち、修復作業を実行するのは、ロシアとドイツなのだ。
だが悲しいかな、今回の戦争は、「二国間戦争」ではない。ウクライナ政府の背後にアメリカという超大国(←うちの宗主国だよ、おい...)とそのお取り巻き軍団NATOがついている。私は当初は「シャドーNATO軍」として参戦するのかと思っていたが、メルケル氏がミンスク合意がロシアをはめる罠だったこと(ウクライナの武装準備期間を作りたかったこと)を認めちゃうわ、ゼレンスキー氏がロシアとウクライナの停戦合意をアメリカ(*1)に蹴られたことをしゃべっちゃうわ、アメリカは御自ら「汚い武器」をウクライナに渡したことを告白しちゃうわ、ジョンソン氏が立てた攻撃作戦が失敗したことを全世界に知られちゃってるわ、戦争中にロシア側にウクライナ領内に細菌研究所があったことを掴まれちゃうわ、と、「隠しきれない失態」というか、そもそも隠しておく気があったのかどうかすらわからない状態になっている。これは、ロシアから「今回の戦争は、二国間戦争ではない。西側による『ロシア封じ込め戦争』だった」と言われれば、「はい、そうですね」と言わざるを得ない状況である。
ドル覇権が終焉に近づき、西ヨーロッパの生産者は今までの政治が自分たちの利益を損なうものだと主張している。西ヨーロッパの政治構造が変わるかもしれないことが、いま、唯一、西側の希望の光になっている、と私は思うが、いかがだろうか。
私は、タッカー氏には、プーチン氏がこの「西側の光」とどう付き合っていくのか(支えてやる気があるのか)をきいていただきたかったと思う。「西側グループへの政治干渉」ではなく、「国際親善」の話として。
【追記:Feb12, 2024 02:45(JST)】
*1)インタビューでは、合意を蹴らせた人物として、イギリスのジョンソン元首相が名指しされていました。
【編集履歴】
Feb29, 2024 00:53(JST) タイトルを変更しました。「タッカー・カールソン氏のプーチン氏のインタビューについて」から「タッカー・カールソン氏によるプーチン氏へのインタビューについて」
Apr 2, 2024 カテゴリ「プーチン」を追加しました。