私は、今までも何度か述べてきたように、TwitterがXになる前から、TwitterJapanがスパムの温床であることに気がついていた(
https://mesh2.net/channel/rainbowlinkinc?mid=https://mesh2.net/item/b485f0d4-7a90-4c84-a836-9e0a8ad714bb)。TwitterJapanにおいては、議員や政党、そして「プロフィールで特定政党を支持していると表明するアカウント」には、「いいね」やら「リツイート」やらが異様にたくさん付くのだが、私がこうしたアクションをしているアカウントのプロフィールやツイートを見てみると(*1)、明らかに「人間のものではない」ものばかりだったのだ。私は、議員や政党、そして「プロフィールで特定政党を支持していると表明するアカウント」に肯定的なアクションをするためだけに存在するアカウントのことを、「スパム系アカウント」とか、「多数派工作用アカウント」と呼んでいる。
こうした「スパム系アカウント」「多数派工作用アカウント」のなかには、IDの文字列やプロフィールに特定の形式を持ったものがあって、私は、そこに、プログラミング的な手法でアカウントを生成する「同一のアカウント作成者」の存在を見たのであった。この「同一の作成者」がプログラミング的な手法で生成した複数の「スパム系アカウント」に、私は、「スパム系ボットアカウント」という名前を付けた。「スパム系ボットアカウント」は、形式が明確なだけにプログラミング的な手法で割り出せるものであったから、私はこう思ったのだった、「スパムを追放しようとするエンジニアであれば『スパム系ボットアカウント』などすぐに分かるのだから、Twitter社は、スパムを追い出す気はないんだな」。
トートロジーみたいだが、「Twitter社がスパムを追い出す気がない」理由は、「Twitter社最大手の広告主」が「政党だから」なんだろうなあ、と、私は思った。
しかし、そのうちに、私は、「スパム系ボットアカウント」が跋扈している状態には、良質なユーザーをTwitterから離脱させる作用があることに気がついた。Twitter社は、広告主の利益を優先している。だからこそ、Twitter社は、「広告主の取引先である大手広告代理店」と「その系列」が「スパム系ボットアカウント」を使って「多数派工作する」ことを(おそらく多額の金とバーターで)許容しているのだが、この「多数派工作」は、第三者がプログラミング的手法のような「難しい」ことをしなくても、Twitterにログインして目視する程度で認識できるほど「あからさま」なので、そのうち「まともにTwitterで交流したり営業したりしている一般ユーザー」がツイートするのがバカバカしくなって、Twitterを使わなくなる。つまり、「スパム系ボットアカウント」による多数派工作は、ユーザー数の減少を招くだろう。そうなると結局広告主に愛想を尽かされることになる。だから、Twitter社は、遅かれ早かれ「スパム系ボットアカウント」を一掃するだろう、と、私は思うようになった。
それだけに、Mr.ZatkoがTwitterのセキュリティ責任者についたとき、私は、「おお、いよいよTwitter社は『スパム系ボットアカウント』を一掃する気になったのだな」と思って、喜んだのである。Mr.Zatkoは著名なエンジニアなので、「技術を提供することによる改善なり喜びなり」を重視しており、「詐欺的手法による儲け」が自分が重視するものを異様に上回ることに耐えられない(つまり、それが「詐欺の域」であると思えば必ず改善に乗り出す)と思ったのである。
しかし、Mr.Zatkoは、「スパム系ボットアカウント」を一掃する前に、Twitter社を去ってしまったのだった。Mr.ZatkoがTwitter社をやめたとき、Mr.ZatkoはTwitter社から誹謗中傷されたのだが(『Ars Technica』によると、この諍いは訴訟に発展し、その後和解したとのことであった。Mr.Zatkoは多額の示談金を手にしたそうだ)、その事実から、私は、Mr.Zatkoが、在職中に、「スパム系ボットアカウント」を割り出したのだろうと推察した。彼は全ユーザー数に対する「スパム系ボットアカウント」の割合を割り出し、その多さに呆れ、「スパム系ボットアカウント」を一掃する(あるいは制限する)ことを企画提案して、営業部(または執行部、または執行部の上に君臨していたアメリカ当局の誰か)と衝突した可能性が高いと私は考えている(*2)。
Mr.ZatkoがTwitter社を去り、私が落胆した時に登場したのが、Mr.Muskであった。Mr.Muskは、かつて私がMr.Zatkoに期待したことを実行し、『Twitter Files』を世に送り出したのであった。だから、私は、Mr.Muskをエンジニアとしても経営者としても高く評価している。彼のこの業績は、私には永遠に否定することができない。心底「凄い」と思っている。そればかりか、日頃「改善」だの「自浄作用」だのと言っている日本人が、彼がTwitterにもたらした「自浄作用」を評価しないのは、滑稽な話だと思っている(彼らは、「自浄作用」がなんたるかがわかっていない可能性が高いと思う。私は、「あんたらのいう『自浄作用』って何?」とききたいのである)。
また、アメリカのメディアの中には、「Mr.MuskがTwitterのユーザー数を盛っている」というところがあるが、私は、さすがにTwitterの「公表ユーザー数」ではないものの、Twitterの「ユーザー実数」の10倍程度はTwitterのツイートを読んでいる人間がいてもおかしくないと思っている(つまり、私は、Mr.Muskは嘘つきではないと思う)。というのは、私は、「『X』のユーザーになって自分のアカウントから閲覧したという記録は作りたくないが、『X』で活動している特定の人物の言論を見たい」という人々が少なくないと思うからだ(
https://mesh2.net/channel/rainbowlinkinc?mid=https://mesh2.net/item/b485f0d4-7a90-4c84-a836-9e0a8ad714bb)。私の体感では、Twitterで1つのツイートにつき常時2人前後のviewerがいるようなフォロワー5000人規模のアカウントの場合、『nitter』をはじめとするなんらかの「外部ツール」を利用して、「最新のツイート上位30件(から50件)」くらいを10人くらいが閲覧していると考えてもそうおかしい話ではないと思う。もちろん、私は日本においてミソジニー系のいじめの標的になりやすいので(私のアカウントはいじめ目的や、私を「詐欺師」と呼べる機会を狙っている多数の人物に「チェック」されていると思われるので)、私の「アカウント」なり私の「体感」なりを「一般化」することは妥当ではないのだけれども、Mr.Muskの買収前はTwitterで他人と交流していた人々の中には、自分は「『X』ユーザー」としては絶対にカウントされたくない(=Mr.Muskを喜ばせたくない)が「かつて交流していた人のツイートを読みたい」という人々はかなりの数いると思う。だからMr.Muskが『nitter』を締め出したこと(
https://mesh2.net/channel/rainbowlinkinc?mid=https://mesh2.net/item/977518c5-65c8-45ca-87c8-583f6a83e54b)はちょっと意地悪だと思う。それに、私は、Mr.Muskが『nitter』を締め出したことは、『X』の「隠れた人気」「真実の人気」を落とすだけなので、営業的にもまずい判断だったと思う。「『X』の
ユーザーでない人々」が作る『X』の「隠れた人気」「真実の人気」は、『X』の「社会的影響力」を形成するのだ。
というのが本稿の「前おき」である。いよいよ本論に入りたい。
私は、『X』でスパムが跋扈しているのは、TwitterJapanだけだと思っていた。なぜなら、「自分の体感」として日本語の「スパム系アカウント」を多数把握できているうえに(ブロックしまくっているし、公開ツイートで批判もしている)、Mr.Muskによる『X』の買収前も買収後も、TwitterJapanの運営主体が同じだからである。
ところが、きのう、Twitter本社(TwitterAmerica、『X』本社)でも、スパムが跋扈しているという記事を見た。なんだか、身につまされる話なので、紹介しておく。
"
Take the money and run? I tested X’s paid-promotion model, and it was woeful"
By Gene Marks
https://www.theguardian.com/business/2024/feb/15/x-paid-post-promotion-advertisingFeb 21,2024, 0:43(JST)
*1)「目視した」のである。なぜなら、私はTwitter社からプログラミング的な手法でユーザー分析をすることを禁じられていたからである。
https://mesh2.net/channel/rainbowlinkinc?mid=https://mesh2.net/item/b485f0d4-7a90-4c84-a836-9e0a8ad714bb*2)Mr.Zatkoは、Mr.MuskのTwitter社買収の理由について、興味深い反応をしている。『Ars Technica』の Ashley Belanger氏の「FTC レビュー レポート」を参照のこと。
【編集履歴】
Feb 27,2024, 22:09(JST) 記事のタイトルを斜体にしました。
Mar 25, 2024 カテゴリ「X(Twitter)」を追加しました。