私は、学生時代に、大戦間のヨーロッパの右翼運動について少し勉強したことがある。私が勉強したところでは、大戦間、ヨーロッパ全域に、右翼(国粋主義、民族主義)の「カリスマリーダー」がいた。最も有名なのが、ナチのヒトラーと、ファシスト党のムッソリーニである。ちなみにウクライナにいたのが最近になって世界的に有名になったバンデラである。私が学生時代に覚えたムッソリーニのプロフィールは、”ジャーナリスト。アジ系記事を書きまくり、その記事が庶民に受けた結果政党系新聞が大ヒットして売れっ子となり、金が入ってきたので自分の政党づくりに成功して政界に入ることができた”であった。
しかし、去年、Twitterで、ムッソリーニが大英帝国の犬であったことを知った。
https://x.com/RainbowLinkInc/status/1707846883643953363( nitter:
https://any-nitter-url/RainbowLinkInc/status/1707846883643953363)
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Recruited by MI5: the name's Mussolini. Benito Mussolini"
https://www.theguardian.com/world/2009/oct/13/benito-mussolini-recruited-mi5-italyDocuments reveal Italian dictator got start in politics in 1917 with help of £100 weekly wage from MI5
(自動翻訳)
イタリアの独裁者が1917年にMI5から週給100ポンドの援助を受けて政界入りしたことが文書で明らかになった
私は、学生だったときから、「記事が当たっただけでは、金欠のままだろう。メンバーを食わせるのはとても無理だ」と思っていた。だから、ムッソリーニが大英帝国から金をもらっていたと知って、
腑に落ちた(納得した)のである。
ただ、私は、ムッソリーニは、1917年より前、結党のときから大英帝国から金をもらっていたのではないかと思っている。「結党」といっても、彼が作った「政党」の実質は、「武装した新聞社」のようなものであったからだ。私は、個人的には、彼は「ジャーナリスト」ではなく、「武装した新聞社を起業した人」だと考えている。
私が見たところ、ムッソリーニとヒトラーという「大戦間右翼ビッグツー」とバンデラなどの「他の右翼活動家」との決定的な個体差は、「執筆能力の有無」であった。インターネットのある現代では人を動かすのにプログラミングの能力が求められるが、大戦間からインターネット前までの「メディアの時代」では、記事を執筆する能力が求められた。ムッソリーニが大英帝国の犬であったことを知ったいまは、私には、ムッソリーニの「記事」とヒトラーの『我が闘争』は、「俺は『特別できるやつ』である」という「名刺」のような役割を果たしていたように思えてならない。
大英帝国は、ムッソリーニに、「金を生む雌鳥」になることを期待して「出資した」のではないかと思う。大英帝国は、ムッソリーニが政権を取れば、ムッソリーニに戦争を起こさせて、ムッソリーニの政府がイタリア国民から巻き上げた税金を戦争に投入させ、マネーロンダリングしてから、自分の懐へ還流させることができる。
「戦争好きな政治家」に投資をするのは、回収面利益面ともに、とても効率がいいと私は思う。「戦争好きな政治家」が政権をとらなくても、彼/彼女が投獄されて名前を売り、反体制政治家として更に名前を売り、泡沫政党の党首として「仮想敵国」を作り、「仮想敵国」を「悪いやつらだから、懲らしめろ」と叫び始めた段階で、初期投資分くらいは簡単に回収できる。なぜなら、その政治家がいる国と、「仮想敵国」とされた国の株式市場で、戦争関連株が「上がり始める」からだ。金持ちが自ら株式市場に「起爆剤を投入する」こと(仕込み)もできる。
先に私は「納得した」と述べたが、それはあくまでも私個人の話であって、一般論では、「ムッソリーニという『政権を取ることに成功した右翼活動家』には大英帝国というスポンサーがいた」という事実は、学生が「政治」として勉強したことのすべてを根底から覆す話である。「国粋主義」「民族主義」の運動においては、イデオロギーとして、そもそも「外国人」や「異民族」は、「排斥すべき対象」だからだ。右翼の主張によれば、「貧乏な外国人」は、自分たちの税金を食いつぶすおそれがある存在で、「金持ちの外国人」は、質がよい製品をブランドとして売りつけてきたり質は悪いが国内製品の競合となる製品を安く売りつけてきたりして、国内市場を荒らす存在なのである。
しかし、実際は、政治学上は「右翼活動リーダー」の典型とされるムッソリーニは、「金持ちの外国人」の金を自分の右翼活動の「元手」にしていたのであった。だから、「国粋主義」「民族主義」は、それを叫び、「同志」を集める右翼活動団体のリーダーにとっては、イデオロギーやら「政治的見解」やらとはなんら結びつかない話というわけなのである。つまり、右翼のリーダーにとっては、「国粋主義」「民族主義」は、「ただの宣伝文句」にすぎない、というわけだ。
そう、「国粋主義」「民族主義」の運動は、「純粋な経済活動」なのである。「大戦間に生まれた、新種のベンチャー企業群」と言ってもいい。何度も繰り返して申し訳ないが、これは、私には、「
完全に納得できる話」である。親に金を出してもらって大学で政治を勉強したことを思い出すと、いささか残念な気もするが(sunk costは、いつも私をブルーにする)。
この流れで、私は、すでに世代をまたいで50年近くヨーロッパで活動している「ネオナチ」は、「右翼活動=経済活動」だとよく知っている人々だと思わずにはいられない。「大学で政治を勉強しました」みたいな私などより、よほど深くその「活動の本質」を知っているのだ。なぜなら、彼らは「シードマネーを探すベンチャー企業」として、エスタブリッシュメントの手先から直接「上場」(この場合は「国家政党になる」ことだが)までの活動方法をレクチャーされる機会があるうえに、「実際にエスタブリッシュメントの手先から投資を受けているから」(身をもって現実を知っているから)である。よって、「ネオナチ」とは、「右翼活動が手っ取り早く金持ちから金をもらえる活動であることを知っている人々」であると定義してもいいと思う。実際、私が勉強したところでは、大戦間、ヨーロッパ全域にいた「右翼活動のカリスマリーダーたち」は、それなりに金を持っていたのである。
「ヨーロッパ全域からネオナチがいなくならない理由」として政治学や社会学の方面からよく挙げられるのは、「自分に自信を持てない若者が、国家や民族などの大きなストーリに心惹かれるから」というものだ。「そういう若者は次々に生まれてくるから、ネオナチは根絶できないのだ。貧困を撲滅すれば自ずからいなくなるだろう」などと言われる。しかし、私は、こうした言説は、カリスマリーダーの金銭事情に触れないため、「プロパガンダ」だと思う。私は、「ヨーロッパ全域からネオナチがいなくならない理由」は、「ムッソリーニと大英帝国の関係を再度構築しようとしている投資家」が、「投資先を探したり、投資をしたり、投資先を育成する仕事をしているから」ではないかと思う。