2024年7月17日の朝、私は、使用していたUPS(無停電電源装置)の一台が故障したと思った。なぜなら、バッテリー駆動に入ったことを知らせる警告音を発することなく、突然、電源を消失する時の「最後のおたけび」を発し出したからである。
「あーあ、壊れちゃった」とは思ったが、ケチな私は念のためUPSの電源を切り、再度電源を入れ直してみた。すると、そのUPSは無事に動作を開始したのであった。物理的な故障ではなかったことが判かってほっとしたのもつかの間、今度は、その「UPSなのにUPSとしての仕事をしないUPS」につないでおいた機器のなかに、私がプログラミングしておいたとおりに自動起動した端末と、起動せずに落ちたままである端末とがあることが判明し、原因を追求しなくてはならなくなった。
私の命令を無視して寝落ちしたのは、Mesh2.Netのウェブサーバーであった。Mesh2.Netのウェブサーバーを手動で叩き起こしたところ、Mesh2.Netの『streams』のupgradeが来ていたことに気づいてしまったので、そのままupgrade作業をした。upgradeを終えたタイミングで、機械やケーブルなどの物理的な故障の確認に入った。
確認作業の途中でたまたまMesh2.Netのウェブサーバーに戻ったところ、Mesh2.Netのウェブサイトが503エラーになっていることに気がついた。私の自作の「サーバー落ち警告」は、サーバーが落ちたときにしか起動しないので、503エラーでは起動するはずもなく、結果、私は数時間ほど気づかなかったのであった。
503エラーに気づいたら最後、503エラーの解消が最優先である。というわけで、半日ほどMesh2.Netを完全にインターネットから切り離し、他の端末のソフトウェアやログの確認と平行しながら、503エラーの原因を調べた。調べ始めたとき、7月15日に「ハッカー」を名乗る人物がMesh2.Netでクリックジャッキングができると連絡をよこしたことを思い出した。私は自分でMesh2.Netの脆弱性検査して安全性を確かめているので、その連絡を「よくある嫌がらせだわい」と思い、ガン無視したのだった。だから、連絡をよこした人物が腹いせにDDoSでもやらかしてるかなと思ったのである。しかし、私が調べた結果、UPSがUPSとしての仕事を果たさなかったために、フロントのMySQLサーバーが壊れ、503エラーが生じていたことが分かった。
私はいよいよわけがわからなくなった。「たくさんあるUPSのうち、なぜたった一台のUPSだけがバッテリー駆動もせずに動作をやめたのか?」
しつこいようだが、「Mesh2.Netのウェブサーバーで利用しているMySQLサーバーが壊れた」という以外、データセンターや事務所に物理的な故障もなければ、ソフトウェアやデータに問題はない。よって、私は、電気系統に問題があるとしか思えなくなった。私は以前、思いつきで本番環境で電圧実験をしてデータセンターの一部を壊したことがあるが、今回はそんな実験はしていない(つまり、壊れた原因は「私のあほさ加減」にはない)。というわけで、私は安心して他責モードに入り、8時36分-37分までのあいだに電気の異常がなかったか周囲に聞いてまわることにした。すると、配電盤の区分が別の部屋のひとつで、「8時半ころに突然テレビがパッと消えた」ということが分かった。「天井灯など他の電気はついていたが、テレビだけが突然消えた」というのであった。
そこで、インターネットで落雷情報を調べたところ、17日の19時すぎに、次のような記述を見つけた。
広域にわたる停電について(復旧済)
以下の地域において広域にわたる停電が発生しておりましたが、現在は復旧しております。
ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
・発生日時:2024年7月17日(水) 8時37分
・復旧日時:2024年7月17日(水) 8時38分
・停電発生地域:松本市大字今井、大字神林、大字空港東、大字笹賀、村井町西、村井町南、小屋北、小屋南、野溝西、野溝東
平田西、安曇、波田の一部
塩尻市大字広丘堅石、広丘郷原、広丘野村、広丘原新田、広丘吉田、大字洗馬の一部
東筑摩郡朝日村大字小野沢、大字古見、大字西洗馬 の一部
・停電戸数:約11,000戸
・停電原因:調査中
source:
https://teiden.powergrid.chuden.co.jp/p/office/530.html私は、「原因はこれだ」と思った。問題が起きた年月日時刻がピッタリ同じだったからである。
それにしても、驚いたのである。私は、今まで、電力会社が自社の管轄で停電が起きたと発表するようなタイプの「停電」が起きると、地域全体、各戸では、一軒まるごとすべての電源が落ちるものだと思っていたからである。
この「停電」では、「家の電源」も「家全体のブレーカー」も「一部のブレーカー」も落ちなかったうえに(つまり「誰も停電だとは気がつかなかった」うえに)、「配電盤区分では別の場所にある電器製品」が、「それぞれひとつずつ」、「落ちた」のであった。
私は、この「不思議な停電」の「原因」を知りたいと思った。
2024年7月19日 1:38に再度上記URLを確認したところ、ページは更新されていなかった。この記事を書き上げたかっため、23日1:18に確認したところ、まだページは更新されていなかった。
つまり、
「不思議な停電」から6日が経過した23日1時半現在、電力会社は、まだ、「停電原因」を「調査している最中」だというのである。私は、職業柄、「ユーザーの意志とは無関係にユーザーが今まさに使っているものをプッツリ切る」といって思い出すのは、ルーターのDFS機能である。市販ルーターは、行政系レーダーとの干渉を避けるために、ホームWifiの5ギガヘルツ帯を60秒間勝手に切ってしまう機能を搭載している。私はデータセンターのルーターは創業前に自作したが、数年前にいろいろと思うところがあって自宅や事務所のルーターもすべて自作することにしたので、私が現在管理しているルーターには行政系レーダーと干渉するようなものはひとつもない(つまり、私は自作ルーターには最初から行政系レーダーと干渉しないチャネルを当てている)。よって、私が作ったルーターが私の意志とは無関係に途中で勝手に「法律を守るため」にプッツンすることはないが、市販品を利用しておられるかたは、結構不自由しておられるかもしれないと思う。
レーダーといえば、うちの近くに楽天の電波塔が(我々住人のためになんの説明会を開くこともなく)建てられてしまった。ミリ波のせいで心臓を圧迫されるやら頭痛がするやら騒ぎなので(他にも多数被害者はいると思うが)、ミリ波を使うのをぜひやめていただきたいが、どうだろうか。海や山から強い電波を飛ばすのはアリだと思うが、平地でミリ波を使う「必要」はないのではないか?