『X』で検索すると、『暗殺』は「ネトウヨ」に人気であることがわかる。『暗殺』にある「安倍氏は誰からも好かれた首相」だの「人がよい」だの、柴田氏が使うとは思えないような言い回しは、この本の企画が「ネトウヨ」をターゲットに立てられたことを示唆している。
このコラムは、「ネトウヨ」以外の柴田氏の「本来の」読者のかたが読んでくださっている可能性が高いので、ひとつ、そういう皆様のために、そういう皆様には興味深いに違いない情報を書いておくことにしよう。
(つまり、「ネタバレ注意」)
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「ネトウヨ」以外の柴田氏の「本来の」読者の皆様へ『暗殺』の244ページに、
とにかく今回の”事件”に関しては、ネット上の情報が多い。中には田布施元首相が倒れている写真の上着の中に血液のバッグを仕込んだようなフェイク写真を添付して、「田布施は海外に脱出してまだ生きている」という”ガセネタ”も拡散した。
というくだりがありますでしょう?
実際、『TwitterJapan』で、「安倍氏は海外で生きている」という話が広まったことがありました。私も知っています。
「安倍氏は海外で生きている」という話が『TwitterJapan』で広まった理由についてですが、私は、柴田氏が『暗殺』で明らかにした「体内で消える弾丸」の存在を知らない人々には、それが「妥当な推測」に見えたからだと思います。この世に「体内で消える弾丸」があるということを知っているのといないのとでは、「山上さんが安倍氏殺害犯に仕立て上げられた事件」の見方がまったく変わってしまうのです。
私は、『暗殺』を読むまで、この世に「体内で消える弾丸」があるということを知りませんでした。ですから、安倍氏の死因を解明した日本の大学の説明を、「解明」どころかひたすら「ふざけたもの」であるとしか認識できませんでした。私の見方はごく一般的だったようで、インターネットでも多くの人がそう言っているのを確認することができました。
インターネットでは、「ふざけた説明」の真逆にあるような「真面目な説明」も読むこともできました。私は、「真面目な説明」を、中国のサイトで見つけました。中国人はこのように言っていました:「弾丸は体内を直線的に通過する。決して体内で進路を曲線的に変更することはない。日本の大学は医学的に理屈が通らないものだ」。
私はこの意見にはおおいに納得しました。「世界にはちゃんとまともな解説もあるのだ」と思い、安堵感すら覚えました。そして私は思ったのです、警察官やSPといった目のきく現場検証のプロが安倍氏の体を貫通して外に出た弾丸を見つけられず、弾丸が「安倍氏の体内に残っていない」のだとしたら、弾丸はどこへ消えたのか?
この世に「体内で消える弾丸」があるということを知らない人々は、私同様、報道を見て、「銃で撃たれたのに弾丸がないって、どういうことだ? 弾丸がないのに、安倍氏はどうやって死んだのだ? 」と疑問を持たなかったわけがありません。さらに、この世に「体内で消える弾丸」があるということを知らない人々のうち、日本人は、忖度と村八分という極端に触れる文化風土に生きているせいか、「医師は、『死んだ』ということをなんらかの理由で言えないのではないか」→「死んだと言えないのは、言えば嘘になるからであろう」→「つまり医師たちは政治圧力をかけられて、真実を言えないでいるに違いない」というぐあいに考えを進めてしまったのでした。この憶測は、日本人には「例によって例のごとく」「ごく当たり前の」「あああれね」「またかよ」的なものですから、私も皆も「当たり前のように」そう考え、他人が言っていればそれを「当たり前のように」受け入れていました。「安倍氏は死んでいるとは言えない」と考えている日本人には、「安倍氏は海外で生きている」という憶測は、「特別悪意をもったデマ」には見えませんでした。単に、「ひとつの可能性のある(否定できない)推測」にすぎなかったのです。
【コメント欄へ続く】