妻殺しの嫌疑をかけられている県議の公判が始まった。
警察が防犯カメラの映像から県議の車を割り出したことは真実に一歩近づいたと評価できるが、検察は、「動機」を軸に論理構成しないほうがいいと思った。私が某最高裁判事の元ゼミ生だからそう言っているのではない。真実から何歩も遠ざかると思うからである。
県議は、「女関係」「借金関係」で妻殺しを決意し実行するようなタイプではない。私が彼の高校の部活の先輩だからそう言っているのではない。一般的に、権力に就く人間は、「女と金は、地位または金でなんとでもなる(消耗品である)」と思い、女と金に執着することがないからである。権力者は、消耗品として消耗させてくれるタイプの女を好む(つまり裁判沙汰にしたり面倒な要求をしたりしない「玄人」と好んで「遊ぶ」)。
県議は、自民党の警察関連部署のトップに就任していた。私は、このことから、県議は、「物的証拠がない場合、権力が警察や検察に命令することで犯罪をもみ消すことができる」という事実を知り、「権力についている人間は、権力を梃子にすれば、完全犯罪を成立させうる」と考えたのではないかと思う。「自分が完全犯罪を成立させうるという自信」こそが、権力者をして犯罪に駆り立てるのである。
よって、私の考えでは、この事件を解く鍵は、「彼が権力の座にあったこと」「彼が警察機構と付き合ったときに知ることのできた実際の事件」、この2つである。事件当時、彼は「半年後に塩尻市長選に出る予定だった」(自民党の本命だった)そうだが、このあたりの事情は調べたのか?
「動機」など追っても無駄である(もちろん彼を無罪にするために無駄なことをしているというのであれば話は別だけど。そうであれば、検察は、地道に証拠を集めた警察の努力に唾を吐くことになると思うよ)。蛇足として書いておくが、動機については、公判前に週刊誌が掲載した内容と検察が主張した内容が「正反対」の部分がある。週刊誌は「妻が離婚したがっていた」といい、検察は「県議が離婚したがっていた」というのだが、週刊誌は、県議が複数のハゲタカファンドに実家の事業を売却したがっていた(現金を必要としていた)とも報じており、「妻が離婚したがっていた」というストーリーのほうが説得力があると思う。