得票数第一位(当選)である小池百合子氏に持ち上がっている疑惑は、「学歴詐称疑惑」である(すでに噴出していた疑惑の継続という形であるので、特にリンク紹介はしない)。
得票数第二位である石丸伸二氏にに持ち上がっている疑惑は、「ビジネスマッチングサイト(クラウドソーシングサイト)『クラウドワークス』で"動画による顔や言葉の拡散"を発注した疑惑」である(添付のCSV『
20240710_石丸 公選法違反 クラウドワークス.csv』をご覧ください。このCSVは、私がduckduckgoで「石丸 公選法違反 クラウドワークス」と入力して得た検索結果です)。
しかも、興味深いことに、これらの疑惑を調べると、両方の疑惑に、それぞれ、「疑惑を打ち消す言説」が繰り出されていることもわかる。
小池氏に持ち上がっている疑惑については、著名なアラビア研究者が、「卒業している可能性が高い。日本的な意味での『卒業』ではなく、アラビア世界の外国人を客扱いする風習の一環としての『卒業資格授与』ということはありうる」という趣旨のことを述べている(
source:『
「小池百合子」はカイロ大学を卒業しているのか? 「学歴詐称の真偽」に白黒つける【中田考】』
2024.07.04 ( kk-bestsellers.com )
)。
石丸氏に持ち上がっている疑惑については、インターネットでは、「石丸陣営ではなく、無関係の第三者(たとえば政治系チャンネルを運営しているユーチューバー)が発注している可能性が高い」という意見が拡散している。典型例は、添付ファイル『
20240710_石丸 公選法違反 クラウドワークス.csv』の第5位の大東文化大学社会学部の「ファクトチェック」なる記事である。同様の意見は『X』でも見られる。
私は、著名なアラビア研究者(中田考氏)による「小池氏がエジプト政府側に客人として扱われた結果、カイロ大学を正式に卒業している可能性がある」という意見については、「ありうる」と思った。複数の証言者や告発者が「小池氏はカイロ大学を卒業していない」と述べることについても、「証言者たちは事実を述べているだろう」と思う。
証言者や告発者がアラビアの文化事情に立脚せず、あくまでも日本人の立場で「証言」「告発」をする理由についてだが、私は、彼らが、全員、小池氏が有権者を騙そうとしている(騙している)とみなしておられるからだと考えている。彼らはこう考えておられるのだろう、"
小池氏が「自分はカイロ大学を主席で卒業した」と述べれば、日本人は「日本的な意味での『主席での卒業』」にしか捉えないに決まっている。小池氏が「自分はカイロ大学を主席で卒業した」と述べれば、日本の有権者は、「そうか、小池氏は並外れた語学力を持つ、非常に優秀な人物なのだな」と誤解するに決まっている"。
実際、私はかつて小池氏を「語学力に秀でた優秀な帰国子女」のように誤解していた(彼女がアラビア語ができるかできないかなどということはまったく考えたこともなかった。当然できると思っていたからである)。
つまり、証言者や告発者は、小池氏の「自分はカイロ大学を主席で卒業した」という発言を、民主的な選挙の制度趣旨を歪める、いわば「脱法行為」「民主主義に唾を吐く行為」だと思って、証言やら告発やらの労を取っておられるのである(と、私は思う)。そして、私は、彼らの危惧は、的を射ていると思う。なぜなら、小池氏が日本文化に立脚したうえで「カイロ大学を卒業した」という言葉の真の意味を説明しないこと(不作為)は、
日本政府が安倍政権下で企業に「ぎもう行為」をさせた結果日本人を多数「死傷」させた「機能性表示食品問題」において、日本政府が「機能性表示食品」を「経済成長戦略」と銘打って実行していたことと同根だと思うからである。自民党の風土では、「選挙で勝利するためであれば、有権者を誤解させてもよい」、それどころか「有権者をして積極的に自分を応援するように仕向けろ」くらいな意識であったと考えるのが妥当ではないだろうか。
小池氏は、「自民党の重鎮」である。小池氏が『日本新党』という『自民党』とは別の政党から出馬したという事実を、「自民党とは無縁なところから出馬した」と考えるむきもあるようだが、それは間違っている(と、私は思う)。『日本新党』は自民党出身の細川護熙氏の政党であったし、細川護熙氏に小池氏を紹介したのはCIA工作員「緒方竹虎」氏の朝日新聞社に属する人物だそうだ。しかも、小池氏のお父上は、自民党に近い「右翼」であった。中田氏も
かつては児玉誉士夫だったり、こうしたうさんくさい右翼の有象無象が政治家たちの裏でうごめいていたわけですが、そういうのの一番下っ端だったのが、小池百合子の父親の小池勇二郎だったんです。
source:『
「小池百合子」はカイロ大学を卒業しているのか? 「学歴詐称の真偽」に白黒つける【中田考】』
と述べておられるが、複数の証言からもそれは事実であるようだ。つまり、小池氏を取り巻く人物は、昔から一環して、まるっと「自民一家(=天皇一家)」であると我々は理解すべきところである。
この事実は、小池氏の「カイロ大学を主席で卒業した」という言葉を考えるうえで、非常に重要な事実である。小池氏は自民党系右翼の中で育てられた筋金入りの自民党系右翼である(「自民党系右翼」は政治学上の「右翼」とは異なるので留意されたし)。小池氏が自民党系右翼であれば、ご自分の「主席でカイロ大学を卒業した」という発言を日本の有権者が日本文化的な「優秀さの指標」を示されたものと捉え、自分に対する「人物評価」の点数を上げるだろうと考えなかったはずはないと私は思う。そして、小池氏は、それを「悪いことだとは思っていなかった」可能性も高い。
小池氏の「日本的な意味での学歴詐称問題」は、自民党的には「問題がない」どころか、殺人やらレイプやら詐欺やらのとんでもない犯罪がはびこる自民党内では「程度の軽いこと」であるに違いないが、日本社会としては、看過してはいけない問題だと私は思う。
「政府の信用を利用して企業にぎもう行為をさせて死傷者を出した」機能性表示食品事件と同じ結果を招くに決まっているからである。よって、私は、証言者や告発者は「日本社会に真摯に警鐘を鳴らしている」と思う。実際、今回の選挙でも、小池氏が「カイロ大学を主席で卒業し、アラビア語がペラペラな証拠」として、「小池氏が皇室の通訳をつとめたときに皇居で撮影された写真」が出回っており、民主主義に「唾を吐く」どころか「小便をひっかける」状態になっているのである(
▼選挙前に『X』で出回っていた「小池氏が皇室の通訳をつとめたときに皇居で撮影された写真」
https://images.app.goo.gl/JpNichTnP5r5WCym7)。
私は、個人的には、小池氏は事実を述べていても人気者になっただろうと考えている。小池氏は、「私の父は、自民党の下っ端、いわゆる『下っ端右翼』ってやつだったのよ。私は、その父から、『カイロ大学を主席で卒業しろ』って言われたの。今でいう『毒親』ってやつよね。で、私は、父の言うとおりにしようと思ってエジプトに行ったんだけど、アラビア語が難しすぎて、日常会話レベルしか習得できなかったのよねー。あらやだ、私、ホントに英語は結構うまいのよ。だけど、アラビア語には歯が立たなかったの。でも、親切なエジプト人とか、優秀な日本人の友達はたくさんできたし、テレビ局に就職することもできたの。だから、これからは、こういうコネを使って、彼らに助けてもらいながら、アラビア世界と仲良くできたらと思っている」と言えばよかったのだ。経歴については「すべてこれで済んだ」し、実際これで「自民党的な人気」を構築できただろうと思う。そして、その人気は、自民党支持者たちの中では、「不動の」「本物の」人気であっただろうと思う。「優秀さ」よりも「度胸」を愛する有権者は、束になって存在するからである。
いっぽう、私は、石丸氏の選挙運動動画をYouTubeで切り貼りして拡散してほしいという仕事依頼が、石丸氏の「陣営」ではなく、「再生回数を稼いで収入をアップさせたいユーチューバー」によってなされた可能性があるという話には、まったく納得できない。ユーチューバーが自発的に『クラウドワークス』に「石丸動画作成」の仕事依頼を出稿した場合、当該ユーチューバーは「自分の収入を得られるレベルの既存チャンネル」に石丸氏の動画を投稿すれば制作コストである5〜10万円以上の収入になると計算したわけだが、ユーチューバーは、その「試算」を、何を根拠に行ったのだろうか。
UUUMの通期決算説明資料やそのほかの情報から算定すると、YouTube動画を1回再生するごとに平均で約0.05~0.7円の収入が入ると言われています。
source: 『
YouTuberの収入 計算方法を解説』
2024年06月05日 (JobQ Town )
上記の単価を試算根拠として5万円の動画制作コストを再生1回につき0.7円で賄うことを企画した場合、約71,430回再生してもらわなくては黒字化しない。
選挙期間中の正味2週間で動画1本につき7万回以上再生してもらうというのは、なかなかハードである。しかも、「選挙ネタ」では毎日「新鮮な演説」が生じるので、ひとつの動画の鮮度は1日で落ちる可能性が高い。「石丸氏の演説動画」は、ほとんど「ペイしないネタ」と言えると思う。
よって、「石丸氏の動画がおもしろい」「石丸氏の動画の再生回数がすごい」という別建ての宣伝を人海戦術で大々的に行わない限り、ユーチューバーは、小池百合子氏を応援するかその「疑惑」の「追求」をすることを選ぶと考えられる。しかも、選挙前、小池氏のほうには「右翼の大物」が「新規証言」を出しておられたので、「再生回数を稼ぐ」ことを念頭におくようなユーチューバー(YouTube動画から収入を得られる立場にあるユーチューバー)であれば、「石丸特集」よりも右翼の歴史解説のような「右翼特集」をしたほうがよほど皆の注目を集められるし、長期間再生される動画になると考えたはずである。石丸氏の利害関係者以外の「誰」が、「石丸氏の動画がおもしろい」「石丸氏の動画の再生回数がすごい」と宣伝したり、石丸氏の動画の撮影編集に1回につき5〜10万円を支出したりするというのだろうか。
『X』で検索し、retwしておいたツイートのひとつによれば、「石丸動画の撮影/編集/紹介」依頼は、『クラウドワークス』上に「数十件」確認され、中には「1回30万円という依頼もあった」そうだから、「まとまった選挙応援金の投入」ないしは「コア支援ネットワーク(「サポーター組織」)の構築行為」だとみなしてよいと私は考えている。私は、『クラウドワークス』の募集について、「重大な公選法違反ではないか」という推測のほうに妥当性があり、「選挙を純粋な経済活動に利用しようとしたユーチューバーがいた」のであれば、市民社会としては構成員の全員で事実を確認しなくてはならないと思う。『クラウドワークス』は、発注者がどこの誰であるのかを明らかにし、また、受注者は、YouTubeでどれだけの収入を得たのかを明らかにする必要があるだろう。
「選挙」が政党関係者にとって「純粋な経済活動の場になる」のであれば、「選挙」は、民主主義社会を毒する制度でしかないかもしれない。
【2024/7/11 22:05JST追記】添付ファイル『
20240710_石丸 公選法違反 クラウドワークス.csv』がうまく添付できていなかったので、添付しなおしました。