私の考えでは、参院選の結果は、「極右の躍進」ではない。
なぜなら、安倍晋三氏の「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線は「右翼」や「保守」の路線ではないからである。「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線は、「海外に向けた象徴天皇制継続の懇願路線」である。詳細は、本コラムの次の記事をごらんください:『
私は、ロシアメディアの沈黙を見て、「戦後の秩序」が本当は何を意味するのかを悟った。 』
たとえば、選挙なるシステムの数字の上で「躍進した」とされる参政党は、安倍晋三氏の「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線を継承している。
私の好きな『
ニュースサイトHUNTER(ハンター)』さんも同様の見方をしておられるので、ご紹介しよう:
前文は憲法全体の方向性を示すものであり、個々の条文はその趣旨に縛られる。つまり、参政党の憲法案は、天皇絶対の戦前・戦中を蘇らせようとするものなのだ。まともな政治勢力が作った憲法草案とは思えない。
目指すは天皇の下での全体主義国家
『
極右組織・参政党の新憲法案と「神の国発言」』
by 中願寺純則 2025/7/17 ( 『ニュースサイトHUNTER(ハンター)』)
まったく同感である。
私が中願寺氏と異なるのは、かかる思想の持ち主を「極右」と定義しないところだけである。しつこいようだが、私の考えでは、安倍晋三氏の「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線は、「右翼」のものではない。付け加えるまでもないが、かかる路線は「左翼(リベラル)」であるわけがない。
安倍晋三氏の「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線を提唱し、国家という器の意思決定に関与する団体は、世界政治と世界経済のシステムの観点から見ると、「民主的な政治団体」ではなく、「植民地総督ワナビー」である。
本来的には「民主的な政治団体」は、日本国民(日本語経済圏)が貧乏にならないようにメンバーに金をばらまき、メンバーの権利を保証し拡充し、自分たちを対等な仲間として扱ってくれるように海外に働きかけ、海外のあらゆる国と相互補完的な貿易関係を築こうとする。この点では基本的に「右翼」と「左翼」には大した違いはない。西洋では歴史的な意味で、「右翼」は地主階級や資産家階級の利益を代弁し、「左翼」は労働者階級の利益を代弁すると言われてきた(つまり、「右翼」「左翼」の別は、歴史的な意味しかない。イデオロギー的な意味がないことは『
私は、ロシアメディアの沈黙を見て、「戦後の秩序」が本当は何を意味するのかを悟った。 』をご参照ください)。しかし、現代はそうした歴史的な意味すら薄れてきた(正確には、「意味がないことが露呈してきた)。
安倍晋三氏の「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線は、西側政治学の「右翼」「左翼」の分類法では分類できない類の団体である。「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」路線は、メンバーの権利を縮小ないし制限し、メンバーに重税を課し、経済政策は海外の銀行家の富を増大させるものであるから、「民主的な政治団体」の政策路線ではないことが明らかである。
国際社会における「日本人を搾取することでステルス賠償させる戦後秩序」は、あくまでも、「民主的な政治団体」の顔を持つメンバーが集う必要があった。なぜなら、日独伊は独裁であったから「間違った」ことになっており、この三国は「民主主義国になった」という建前において国際復帰したからである。
日本が自ら「民主主義国になった」という建前を取り除いた場合、日本には国連の敵国条項が適用され、日本は大国連中によって「分割」されることになろう。
日本が大国連中から再度敵国として設定された場合、「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」を目指す人々は、権利のない「臣民」を「好んで選択した」ものと扱われるだろう。
戦後秩序の利益享受者たちが「バカはバカとして扱う」という非情な人々であることはすでに述べた。「臣民」には欽定憲法が適用されるため、「臣民」には法的に自身を守る権利も必要性もない。よって、「臣民」には、日本語教育すらまともに与えられない可能性が高い。
かたや、「欽定憲法時代(日帝時代)への回帰」を拒否する人々は、「国際社会の管理下」に置かれることで「基本的人権が保証される」だろう。「国際社会の管理下」に置かれる場合であっても、日本人には現行憲法が適用されるため、日本人は、法廷で身を守るためには達者な日本語話者でなくてはならない。よって「市民」には、いままでどおりの教育が与えられるだろう。
つまり、日本人は、「臣民」と「市民」に大別され、質の違う生活を送ることになる。日本は、異なる権利体系のメンバーから成る二重構造の国になるというわけである。
本来、人間の存在は、外側から「臣民」や「市民」などと類型に分類されるようなものではない。日本人はそのような「分類」を「うっせぇわ」と拒否し、平等に自由を謳歌できる社会を目指すべきだと私は思う。しかし、両者が内戦を起こしそうなほど対立するのであれば、完全に棲み分けるというのもひとつの方法であるとも思う。
よって、問題は、選挙なるシステムの数字の上で「躍進した」とされる参政党が、マーケティング的なものであるのか、真実を反映したものなのか、ということである。
「石丸氏の躍進」「斎藤元彦兵庫県知事の返り咲き」「大村知事リコール運動=署名偽造事件」は、すべて、「仕掛けられたもの」であった。私は、「参政党の躍進」にも似たものを感じるのであるが、いかがだろうか。
【編集履歴】Jul 21, 2025 22:18JST 「平等に自由を謳歌できる国」を、「平等に自由を謳歌できる社会」に変更しました。私はアナキストなので、「立派な国家」を目指しているわけではないからです。目指しているのは「誰もが住み心地のいい社会」です。
【2025年7月27日追記】
「西側基準では、参政党は極右どころか超極右だ」なる言説すら飛び出しているそうだが、「完全な植民地」である「日本」の状況を分析するために「西側」を基準とするところが間違っている。西側は、ドイツ以外は「半属国」である。日本ほど米軍が領土領空を自由に利用している国は西側には存在しない。
西側で「右翼政党」が支持を得ているのは、グローバリストが推進した「移民」と折り合いをつけることができない庶民が多いからである。「ネオナチ」が広がっているのは、大金持ちがそれを育成しているからである。「右翼政党」と「ネオナチ」は別物である。
日本の政治状況を「西側基準」で説明しようとするむきは、USAID系で間違いなさそうである。意図的にミスリードしている。参政党を「極右」と書いている組織や人々はそれをもって以後スルーしてもよさそうだ(定点観測する必要もない)。
日本は「金持ち」でもないし「独立国」でもない。